2016年01月17日

現実的なTecダイビング・・・! ①

当店の場合、毎年冬の時期になるとテックダイビング関連のお客さんや問い合わせが多くなる・・・。

中でも私が前々から主張している、「現実的なテックダイビング」・・・、今の日本国内のダイビング産業にギリギリ見合った”ライトテックダイビング”とでも言った方がいいかな・・・?、そんなスタンスのダイビングスタイルについてである・・・。

私自身を思い出してみても、元々ダイビングを始めてわずか1年も経たない内に、水中洞窟を探検するスタイルのケーブダイビングの存在を知り、憧れてオーストラリアでテクニカルダイビングの門を叩こうとしたのが今から23年前でした・・。

自分にとってはそんなダイビングスタイルがとても衝撃的でした・・・!

オーストラリアのど真ん中に果てしなく広がる赤茶げた大地、「ナラボー平原」・・・!

そのナラボー平原のど真ん中に、たった直径数mのぽっかりと口を開けた小さな縦穴がある。

それを降りていくと、数十m下に突然水で満たされた地底湖が広がっている・・・。

今度はその地底湖を満たしている淡水を潜っていくと、突然ある水深で海水に変わっていくのである・・・。

その時で既に水深60mまではどこかのダイバーによって調査されていたようだが、まだまだその先下があるという・・・。

海から数百kmも遠く離れた乾いた赤茶げた大地のそのナラボー平原のその地底湖の深くに、なぜ海水が満たされているのか・・・?

もちろん皆は口を揃えて、ここが海と繋がっているからだ!と言う・・・。

それを証明するために俺達は潜るんだ!とその時のオージーインストラクターは意気込んでいた・・・。

ケーブダイビングやテクニカルダイビングどころか、初心者でのオープンウォーターダイバーになってからまだ1年も経っていない私でしたが、目指すところはもう完全にテックダイバーになっていました・・・。

担当のオージーインストラクターに相談しながら、これからのステップとやっていかなければならない途方もない数の資格取得とトレーニングの内容・・・。

また別に特殊な器材も全て買っていかなければならない・・・。

時間や段階もさながら、とてつもない金額がかかるだろう・・・。

しかし元々日本では決して出来ないであろう何かをやり遂げるために訪れたオーストラリアでもあったのだから、目の前に見付けた挑戦しがいのある一生の経験と、これから始まる貴重な体験を、そんなわずかな金額の為に諦めたくないと思って覚悟は出来ていました・・・。

そこはもう完全に楽観的なバブル世代ど真ん中の考え方が如実に表されていましたねー・・・。

それから途方もないケーブダイバーへの道のりに漕ぎ出すべく、実際の申し込みの為にショップを訪れ改めて説明を受けに行った時、先日その地底湖のポイントで数名のダイバーが亡くなったと聞かされた・・・。

理由は、ダイビングを開始して地底湖に潜っている最中、陸上では天候が急変し、スコールの激しい雨が集中的に降り出し、短時間で大量の雨水が一気にのその唯一の出入り口である小さな縦穴に大量に流れ込み、そのままダイバー達は地底のどこかに流され帰ってこなかったとの事でした・・・。

そんな話を聞かされて、私は正直言ってそのような事故で自分が・・・、ということよりももっともっとずっと手前の現実的なことが急に気になり出しました・・・。

それは「語学力」・・・、つまりそこのオーストラリアにおいては、自分の「英語力」が圧倒的に乏しく、大きな不安材料になっていたのです・・・。

日常的ないい加減な会話・・・、想像を働かせて「多分こう言ってるんだろう・・・」とか、その場をやり過ごす為に分かったふりをする「Yes Yes」などなど・・・。

これからやろうとしている事を完全に理解できずに分かったふりだけで、もしスタートさせたら、自分だけではない・・・一緒に参加するチーム全体や個々の他人や仲間達を危険な目に晒すことになるのかも知れない・・・、事故の経緯は全く違うのだろうけど、下手すればその事故のように、自分ひとりの英語力のなさで、重要なことが自分だけ理解できていなくて、それが原因で全員殺してしまう事になったらどうしよう・・・!と、違うリスクを突然考え始めてしまいました・・・。

これは自分にとって実に大きな問題でした・・・。

そして考えに考えた末に、泣く泣く諦める事にしました・・・。

人が誰もやっていないことに命がけで挑戦するなら、まずはリードできる英語力を身につけなければと思い、今はまだまだそんなレベルじゃないと冷静に判断を付け、ケーブダイビング、テクニカルダイビングを始めるために私は英語学校に通う事にしたのでした・・・。




アサヒセンスイ
http://asahi-scuba.jp



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